2017.6.2

リカルド・セムラー講演行ってきたメモ

リカルド・セムラー来日講演行ってきた。(前回のエントリの件)

セムコ社に関しては、例の本を読んでいただきたいが、ググったらいろいろ出てくるので興味があれば見てみてほしい。

わたしとしては、こちらの記事が参考になるような気がします。

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さて、楽しみにしていたセミナー。わたしとしては非常に確信を得たし、課題も明らかになったように思う。

内容のディテールではなく、感想の一部とピンときたことのメモ。

<感想>

講演では「どうしたらセムコ社のような経営ができるのか」、「どんな人を採用しているのか」というメソッドの開示を求める質問が多かったが、彼の答えは常にメソッド論ではなく、たくさんの例え話を用いて、なぜそのような経営のあり方にしているのか、という思想的な背景を開示して、参加者に考えるヒントを与えていたように思う。そこには「あなたはあなたのベストを見つけなさい(だって、あなたも大人でしょう)」というメッセージが隠されていたように感じた。

彼の著書も、「彼の会社ではこうやっている」というファクトと、その考え方が重要であって、「こうすればうまくいく」という話ではない。逆に言えば、それは単なるメソッドなどではない哲学で、そこには「本来、人間とはどういう存在なのか」「どういう社会(世界)を望んでいるのか」「組織は何のために存在するのか」というシンプルで根源的な問いがあり、その問いを徹底的に煮詰めた末の答えとその実践を著したもの。

だから企業経営の話と見せかけて、人間の本質や人生をどう捉えるかといった前提条件への理解なしに「答え」を得た気になっても、それはただのコピーで終わってしまうかもしれない。

わたしには、リカルドは、何かこう、未来(の世界)を見通す目を持っていて(というよりも未来を知っていて)そこから今の在りようを導いているように感じた。

そして「奇跡の経営」という日本語タイトルからは見えにくいが、それ(非の打ち所のないフラット経営をして実績を上げること)は理想的で合理的だし、実践するにはコミットと結果という点で相当なシビアさも伴うものだということも理解できたし、それ(シビアさ)があるとわかってむしろ逆にホッとした、という面もある。だって、そうじゃなきゃ、願うだけで努力なしでも叶っちゃうって話だもんね。

 

<メモ:「そらそうだよね」と思ったポイント>

  • ●キーワード「自律」。大人を大人として扱う。大人とは自律した存在。自分で自分を律することができる人。

  • ●セムコは楽園ではない。自律的な人だけが欲しい。

  • ●常に固定された同じリーダーは不要。必要なリーダーシップは状況によって変わる。

  • ●その業界の専門家が考えることは、その業界を根本的に変えるものではない(例えばトヨタはカイゼンによってマイナーなレベルアップはできるとしても、テスラを作ったのは自動車屋ではない)。

  • ●社会的なイノベーションを起こす企業なのか、これまでの延長線上での継続を目指す企業なのか

  • ●ペレは1000ゴールを決めたかもしれないが、2万ゴールを外した。そもそもシュート打たなきゃ入らないわけだが、人は失敗数より成功数だけを気にするもの。

  • ●失敗を何度繰り返しても、その末により良い成功が得られれば、失敗の損失はリクープできる。失敗が許される環境が大事。

  • ●従業員の話は常に聞く。だがその意見を取り入れるかは別な判断。決まったセオリーはない。

  • ●デモクラシー(民主的運営)と多数決は違う。単なる頭数の割合ではない。

  • ●トップマネジメントや承認プロセスは不要。解決の答えを持っている人が上司。

  • ●「未来の見立て」。こうなったらいい、と思う未来の実現に対してふわふわした理想はいらない。実現に向けた6ヶ月の具体計画と、そのファクトチェック=約束(コミット)に対する結果。

  • ●人のポテンシャルと、人が「学んだこと」はイコールである。もちろんどんな学校を出たかは問題ではない。

  • ●成長したい人だけすればいい。成長はすべての人の義務ではない。人がどうあるかはその人の選択。

  • ●企業にとって増収増益はそんなに大切なのか?それがゴールなのか?

 

ところで、わたしがしたかった質問は2つあって、

1)そもそも個人の自己主張や、個人の幸せに対して能動的である多民族国家ブラジルと、個人がものをいうことを極度に恐れる日本では、「自発性」や「自律」の意味やその理解浸透に最初から格差があるように思えるのだが、日本においてセムコ的なあり方は可能なんだろうか?
あなた(リカルド)は日本でセムコ(的な企業)を運営しろと言われたらまず何をするか?そのスパンはどのぐらいだと思うか?

2)セムコがした(している)ことは、つまり「成功の概念を変える」イノベーションだと理解しているのだが、仮にその方法でリマーカブルな増収増益を繰り返せなかったとしたら、それは成功とは言わないのか?それはイノベーションとは言わないのか?

 

というものなんだけど、えーと、あのー、わたしの席では、質問の権利はなかった、というオチがありました(質問できるのはプレミアム席ね)。

セミナーを終えて、2)に関しては、わたしなりの答えは見つかった。
1)は同じテーブルで横に座った方が、「僕の会社はセムコよりもっと深く進めている」と自信をもって語ってくれたので、やっぱり可能なんだということもわかった。

しかも、その方というのは、日頃住吉から「ガチでホラクラシー経営を実践してるすごい人がいるよ!」という話を聞いていたその人で。
あの広い会場で、自由席で、示し合わせたわけでなく偶然隣になるなんてねえ、、、、、(でももう驚かない。そういう風にできている)。

 

 

今日はかなりお先に失礼されました。

これからもたくさん学んで、たくさん実践していきたい。楽しいもんね。

 

この記事を書いた人

村式広報部

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