15年もWEBエンジニアを続けてしまった

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※5 年前の記事「ある WEB エンジニア 10 年の軌跡」の続きです。
エンジニアを募集する企画の一環でまた書かされることになりました。
これから村式にエンジニアとして参加してみたいという方の参考になれば幸いです。

フィジカルコンピューティングとの出会い

2010 年頃に Arduino をはじめとするマイコンで遊ぶようになった。これまで Web で作ってきたものは画面の中の仮想空間でしか動かなかったが、マイコンとモーターをつなげば画面の外で物を動かすことができる。自分の書いたコードが実世界で動くということは想像以上に新鮮な体験であった。

仮想空間に作ったものは二次元の画面を通して視覚でしか楽しむことができない。一方で実世界で動くものはどの角度から見ても存在するし、自分の肉体がある空間に作用してくる。触れば堅い・熱い・重い。間違った回路やコードを動かせば怪我をしかねないし、回路が燃えれば臭い。これを自分で制御できるという感覚がこれまでのプログラミング体験と全く違うことに興奮した。

生物の感覚とセンサー

別の記事にも書いたように、僕は生物の感覚というものに不思議な魅力を感じている。動物の中には赤外線や地磁気を感知できるものがいるという。もしも人間にも赤外線や地磁気が感知できたら、世界はどんな風に見えるだろうか。
 
動物の感覚器に相当するものとして各種センサーがある。世の中にはマイコンと手軽に接続できるセンサーが無数にあり、外界の様々な情報を読み取ることができる。人間に無い多様な感覚をもったロボットがあったとして、果たして彼に自然界はどう映るのか、そんなことに興味がでてきた。

感性をコードで書けるか

人生の豊かさを決めるのはその人の感性によるところが大きいと思う。人が世の中をどう感じるかはその人の感性によって決まるし、世の中にその人がどう映るかも感性を外しては語れない。それほど重要なものでありながら感性というものの正体はよくわかっていない。
 
感性とは、感覚器(センサー)で計測した様々な数値をどう解釈するかというアルゴリズムである。であれば感性はプログラムで記述できるかもしれない。あるいは感性を持ったロボットを作れるかもしれない。夢は広がるばかりだ。

ロボットエンジニアになる

製作中のロボット脚部のCAD図面と骨組み
そんな経緯や夢もあって今はロボット作りにはまっている。はじめは既成の部品を組み合わせておもちゃのようなロボットを作っていたが、今は CAD で図面を引いて金属部品を作ったり、データシートを読みながら基盤を設計したり、やることが徐々に高度になっている。
 
WEB のエンジニアは 10 年以上やってきたが、ロボットエンジニアはまだぴかぴかの 1 年生。理解が進むにつれて自身の無知をを知るのはどの世界でも同じだが、今はその広い海の前に立ってどこに漕ぎだそうかという状況である。エンジニアという生き物はこういう道を楽しめる生き物だ。

メイカームーブメント

(WIRED CONFERENCE 2012 より)
SONYのaibo が最初に発売されたのが 1999 年。20 年経った今では個人でもあれに近いものが作れてしまう。
 
ハードの面ではまず、世界中から多様な部品を小ロットで安価に入手できるようになった。金属やプラスチックの加工も簡単だ。3D プリンターや加工代行サービスを使えば、個人でも製品並みの品質の複雑な形状の部品を作ることができる。オープンソースコミュニティの貢献により、誰でも一流のソフトウェアを探して使うことができる。設計用ソフトも洗練されていて、個人向けの PC でも快適に動かせる。技術情報は世界中の資料を読むことができるし、SNS で専門家と話すこともできる。資金が必要なら調達する仕組みもあるし、ネットで販売する方法はいくらでもある。
 
アイデアと情熱さえあれば一人でも小さなメーカーをやれる時代になった。もしあなたがエンジニアでものを作ることが好きなら、この環境を大いに活用してあなたの個性を形にして世に出してほしいと思う。

村式の経営理念

自分が本当にやりたいことがわからない人が多いという。僕の場合はこれまで夢中で取り組んできた物事の中にその答えの断片が散らばっていて、その中のいくつかがつながって今はロボット開発になっているといった感じだろう。親からもらった体と才能、様々な経験から培われた感性、知性、記憶。そこから生まれてきた個性は僕という人間そのものであり、尊く力強い。

自分の個性をいかんなく発揮できている状態っていいよね、というのが「じぶんの世界をいこう」という経営理念だ。たとえそれが村式の仕事に関係ない活動でもいいよ、というのが村式の懐の大きなところだと思う。そんな人はきっと心身共によい状態でいい仕事をしてくれるし、周りにも良い影響を与えるだろう、ということだろう。そんな理念もあって村式は私のロボット開発にも協力的で、社内にラボを作ろうなどと言ってくれている。

村式はそんな会社で、こんなエンジニアもいます。
村式にエンジニアとして参加してみたいという方の参考になれば幸いです。



 

この記事を書いた人

中川尚(メガネ)

東京生まれ。幼少期はサウジアラビアで世界各国の友人と過ごす。 早稲田大学・大学院では暗号の研究に従事。情報セキュリティの職を経て村式創業に参画。自然、宇宙、日本文化、音楽、芸術、数学、仏教、神道、テクノロジーなど人智を超えてそうなものに興味がある。 夜更けになると鎌倉の裏通りに繰り出し、地元の怪しい仲間たちと酒を酌み交わしている。