2017.4.3

《事例紹介シリーズ1》「自社サイトを持つべきか、楽天に出すべきか問題」への答え

《事例紹介シリーズ1》プロキッチン×村式

村式の実績紹介第一回目として、「プロキッチン」をご紹介します。

プロキッチンは、自社ECサイトと楽天ショップを戦略的に活用して異なる購買層への売上を達成している成功例と言えます。

prokitchen01楽天?or 自前?

本題の前に、これからECを始めたい事業者にとって最初のハードルとして、楽天市場をはじめとする大規模総合通販サイトや、特定の商品カテゴリを集めたオンラインショッピングモールなど、いわゆる「プラットフォーム事業者」のサービスを利用するのが得策か、それとも自社でECサイトを持つべきなのかという議論があることを記しておきます。

プラットフォームを利用する場合の一般的な利点としては、ECサイト制作の初期コストをかけず、専門知識がなくてもすぐに始められる、などが挙げられます。

一方、自社でECサイトを持つとなれば、それ相応の費用も発生しますし、ユーザーを呼び込むための広告を含めた仕掛けづくりやマーケティング戦略を用意しなければなりません。
ですが、どんなお客様に、どのように商品を売っていきたいか、どのような世界を作っていくのか、実店舗と同じように自由なブランド設計でお客様とのリレーションを強固なものにすることが可能です。

「楽天」か「自社サイト」かは、扱う商品やその点数、また商品特性、そして担当する人員も含めての運用体制といった、事業者側の事情をふまえて戦略をシミュレーションし、決定する以外になさそうですが、プラットフォームに参加して実務経験を積むことも、決して無駄ではありません。

 

楽天で経験を積み、自社ECでそのノウハウを生かすという道がある

さて、ここからが本題、「プロキッチン」の事例です。

成功のポイントは、ブランド世界観の確立により楽天ショップとの棲み分けに成功したこと。
レイヤーの違う購買層へのセールスが可能になり、売上の大幅アップを達成したことです。

《プロキッチン紹介》
◎クライアント:株式会社 常陸屋

常陸屋様は長い歴史を誇るキッチン用品の老舗で、昭和31年に東京築地にて、プロの料理人向けに職人による手作りの調理道具を扱う専門店として誕生したのが始まりです。
2001年、現在のプロキッチンサイトの前身となるネットショップが誕生。オープン以来着実に売上を伸ばしてきましたが、後述の課題解決のため2016年4月リニューアルを実施。

現在のサイトは村式がそのリニューアルを担当させていただいたものです。

この会社はかなりユニークで、いわゆるリーダーや役職を置かず、メンバーそれぞれが場面に応じて柔軟に役割分担をしていくという、いわゆるホラクラシー型の経営手法をとっています。
(※これも素敵なお話なので、別途改めまして書きたいと思います)

ブランド:「プロキッチン」
サイトURL:https://www.prokitchen.co.jp/
特徴:商品点数約3000点 中規模ECサイト売上
商品は、国産から北欧を中心とした輸入ものまで、女性スタッフがバイヤーとして世界各国で仕入れるキッチン周りの素敵な品々。
スタッフの多くはもともとがプロキッチンのユーザーでもあり、商品ターゲット層のインサイトはまさにスタッフのそれと一致していることが最大の強みです。

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ユニークな会社のユニークな商品は、スタッフの個性とともに売るのが得策

【例えばこんな課題がありました】

売上げ比率は、楽天ショップ8割、自社EC2割という構成。自社ECの割合を上げ、「本店」にふさわしい状態に持っていくことがリニューアルの第一の狙いでした。

自らも台所に立つ女性バイヤーの目線を通して集められた選りすぐりの商品は、熾烈な価格競争の中で売るに適しているとは言えません。

楽天内での「場所」を確保するために継続しなければならない広告オプションもコストがかさむ要因となっていました。

【自社ECサイトリニューアルの成果】

結果から言うと、リニューアルから8ヶ月で売上を倍にすることができました。
自社ECは約4割の売上げとなり、この世界観やスタッフが好きだという良質な顧客が多くつくようになりました。

一方、楽天ショップでも注力すべき商品や売り方など、社内でのナレッジを整理し棲み分けを可能にしました。

【プロキッチンスタッフと村式のリニューアル戦略】

「自分らしく暮らしをみがく」をキーワードに、リブランディングを実施。

このブランディングにはスタッフこそが成功のカギです。
キッチン周りの商品を探しているユーザーには、どんな情報があれば喜ばれるのだろうという議論の末、商品スペックだけでなく、スタッフによるコメントが価値ある情報となり得ることを想定し、スタッフの個別ページを設けることで、新たに設定したブランドを体現するキーコンテンツとしたのです。

これは、ビジネスの中心に「人のあり方」を考えるクライアントの考えとも一致して無理のない世界観を表現することができたと考えています。

この施策の副産物としてサイトの情報量も増え、訪問者にとって価値あるコンテンツに育つと同時に、検索順位の向上にもつながりました。

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またサイト全体で、雑然としていたコンテンツを、ユーザーにとって分かりやすく、商品選びし易いよう整理し、導線を考慮して配置しました。

ページ構成と導線の設計は、買い物のしやすさを最優先に考え、一からやり直し、UIは販売する商品の性質から、尖ったビジュアルインパクトよりも機能性を重要視して細部まで作り込み、スマートフォンでのアクセス増大を想定してモバイル表示最適化も実施、表示スピードの大幅改善にも成功しました。

楽天ショップと共用していた販売管理システムとの連携も、より効率的になるように設計からやり直して運用コストの軽減に成功。課題であった大量のデータ移行も入念に準備しスムーズに実施できました。

サイトはつくったら「育てる」もの。オープン後の運用が成功のカギ

prokitchen03リニューアル後は毎日の運用がカギになります。

スタッフが重荷と感じず楽に更新作業を続けられるための工夫として、運用に合わせた管理画面のカスタマイズやHTMLメルマガの半自動化などのツール面の整備をしました。

スタッフが自分たちだけでサイトを更新していくために、あらかじめプロカメラマンによる撮影指導や、ブランドにあった文章の書き方などの講座を用意し、ブランドのガイドブックやデザインルールブックも作成し、活用いただいています。

その後も運用フェーズでは様々なトライ&エラーを繰り返し、アクセス解析を読み解きながらユーザーがどのようにサイトにたどり着くかや、商品検索の導線分析に従ってブランドページや戦略的特集コンテンツ設置など、日々実践とフィードバックをおこない、大切に「育て」ています。

 

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この記事を書いた人

村式広報部

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